相続事例3 連帯保証人は相続対象になるのか

はじめに

こんにちは、司法書士AXIS法務事務所です。

3回目の今日はタイトルにもあるとおり、「連帯保証人は相続の対象になるのか」について解説いたします。

先に結論から申し上げますと、「連帯保証人は相続対象に含まれます」。

連帯保証人というのは、借り入れしていた企業・個人(主債務者)が借金を返済できない状態になったとき、代わりに支払う義務が生じる立場にある人のことです。

連帯保証人の相続について、あまり馴染みがないと思う方もいらっしゃるかと思います。しかし、知らなかったで済まないくらいの大きな借金を背負ってしまうことが多いのも、この連帯保証人というものなのです。

事例

1,亡くなったAさんは会社経営者。
2,会社の借り入れの連帯保証人になっている。
3,既に2人とも、Aさんの預貯金を相続している。
4,子どものBさんとCさんは連帯保証人のことは知らなかった。
5,相続から1年後に連帯保証人になっていたことが発覚した。
6,相続した預貯金は300万円ずつ。借金の総額は1億円

亡くなった方が会社経営者だった場合に、こういったケースは起こりがちです。

なぜなら、会社の設立や経営のために借り入れをおこなう際、「会社経営者が連帯保証人になることが多い」からです。特に、中小企業だとこの傾向が強まります。

まずは、一旦ポイントを整理してみましょう

・亡くなった当時、連帯保証人のことは知らないまま財産を相続。
・しかし、1年後に金融機関から請求書が届いて発覚した。
・借金の請求額のほうが、相続した金額より大きい

この3つが今回のポイントになりそうです。

相続は原則として「亡くなったことを知ってから3か月以内」に手続きをとる必要があり、その後に相続や相続放棄を選び直すことはできません。

しかし、相続人に借金があると知ることができなかった正当な理由があり、裁判所が認めれば3か月の期間を超えていても、特例として相続放棄が認められる場合があります。

もちろん、借金の発覚後にBさんとCさんはどちらも相続放棄の手続きを取ろうとしました。

では、この結末はどうなったのでしょうか。

事例の結果

この結果ですが、2人とも相続放棄の手続きは認められずに、それぞれ5000万円の借金を背負うことになりました。

裁判所が認めなかった理由としては、2人に正当な理由がないからではなく、「既に相続の手続きをしているから」でした。

つまり、一度相続を選んだ後に借金があることがわかった場合には、相続放棄は認められないのです。

まとめ

連帯保証人というのは、目に見える借金ではないため見落としがちな部類の負債になります。

もし当てはまりそうな方がいれば、このことを思い出していただけると、思わぬ借金に悩まされずに済むかもしれません。

今回の記事は、そういった方が後悔しない相続を選んでいただく1つのきっかけになればと思い、書かせていただきました。

この件に限らず、現在の状況などで何かお悩みでしたら、1時間無料相談も受け付けております。お気軽にご相談いただければ幸いです。

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