相続事例8 売れないマンション

はじめに

こんにちは、司法書士AXIS法務事務所です。
今回も、「売ることができない不動産」について解説いたします。

売れない不動産を相続してしまったケースは過去の事例でも何度か触れていますが、今日は「マンションではどうなるか」を掘り下げてみましょう。

事例

Aさんは、母親のBさんが所有していた分譲マンションを相続しました。

築30年を超えており設備や立地なども不便な面が目立っていましたが、「売ればプラスにはなるだろう」と思い、あまり深く考えず相続を選んだのです。

相続手続きなどが落ち着いたころ、Aさんは地元の不動産業者にマンションの査定を依頼しました。
そしてビックリするような回答をもらったのです。

それは、「ここと似たような物件が売りに出ているが、まったく売れる気配がない」というものでした。つまり、Aさんの相続したマンションにも価値がつかない可能性が出てきたのです。

前述のとおり、Aさんの相続したマンションは古くアクセスも良くない。そんな不動産は買っても得にならないことが大半なため、買い手がつかないケースが多いのです。

このままでは負債不動産になり、持ち続けている限りずっとお金がかかってしまいます。

しかたなく分譲マンションとして売却することをあきらめ、賃貸マンションとしての運用を考えたAさん。収益をプラスにするためには、空き部屋に新しい住人を迎え入れる必要がありました。

しかし、そのためには古い設備のリフォームが必要で、少なく見積もって150万円ほどかかることがわかりました。

そこまでしても住人が入らない可能性もあります。売却もできず、リフォームに踏み切ることもできないAさんは途方に暮れてしまいました。

Aさんは今でも、リフォームのための積立費とマンションの管理費、そして固定資産税を払い続けています。

マンションを相続する際に気をつけたいポイント

Aさんは軽い気持ちで相続してしまったせいで、悲劇が起こってしまいました。

Aさんはいったいどうすればよかったのでしょうか?

実は相続の前に少し気をつければ、この悲劇は回避できたかもしれないのです。

何に気を付ければ良かったかというと、「不動産の実際の価値」です。

相続が発生し、資産に不動産が含まれているとわかったら、まずはその不動産の地元の業者に査定を依頼することをおすすめします。

査定といえば、役所が不動産の価値を評価する「固定資産税評価額」というものがありますが、こちらはあくまで固定資産税の金額を決めるための目安に過ぎません。
その不動産を何円で売買するか、といった実際の価値とは大きく異なることもあります。

そのため、普段から地域の不動産を取り扱っている業者に査定してもらい、「売れるのか・どのくらいの価値があるのか」を出してもらうことが大切なのです。

その結果「売れない」と判断したなら、相続放棄を検討すると良いでしょう。

ただし、相続放棄などによって相続人が誰もいなくなった場合には、不動産管理義務などが発生してしまう場合があります。そういったリスクを避けるためにも、不動産を相続したり相続放棄をするときは専門家に相談するのが間違いないと思います。

参考記事:相続事例7 相続放棄をしたのに不動産の管理義務が発生したケース

まとめ

1,安易な不動産相続は危険。
2,相続をする際は、不動産業者に査定を依頼する。
3,「固定資産税評価額」は参考にならないときがある。

不動産は一般的には価値のあるものと捉えられ、なんとなく相続をする方は多いのですが、一度選択を間違えてしまうと、Aさんのように取り返しがつかなくなってしまいます。

そうならないために、できれば一度専門家に相談されることをおすすめしています。

当事務所で1時間無料相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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