限定承認という相続方法について

はじめに

こんにちは、司法書士AXIS法務事務所です。
今回は、「限定承認」という相続方法について解説いたします。

限定承認とは

この限定承認という言葉はあまり聞きなじみがないかもしれませんが、立派な相続方法の1つです。

相続には、相続する(単純承認)、相続放棄、そして今回登場した限定承認といった3つの相続方法があるのです。

では、限定承認とは、具体的にどんなものなのでしょうか。

これは「故人の資産総額がプラスになれば相続し、マイナスなら相続放棄する」という相続方法です。

限定承認は、メリットだらけな相続です。

限定承認を選べば、少なくとも借金にはなりません。故人の資産状況が正確に把握できないときなどに効果を発揮します。

限定承認が有効な場面

故人の資産がわからないとき

前述の通り、正確に資産を把握できていない場合は、限定承認を選ぶことで隠れた借金から逃れることができます。

限定承認で一番わかりやすいメリットは、この状況になったときといえるでしょう。

親戚などに相続の詳細を知られたくないとき

親戚などに相続内容を知られたくない場合にも、限定承認は有効です。

通常、相続放棄をすると、相続順位が「子→親→兄弟姉妹」と移ります。

そのため、もし故人に借金があって相続放棄を選ぶときは、親戚にも話をして相続放棄の手続きをしてもらう必要があります。

しかし限定承認の場合、その順位で相続が完結するため、疎遠の親戚などに詳細を知られたくない方には良い方法です。

不動産の管理義務を課せられるとき

不動産に関しては、相続放棄などによって相続人がいなくなると、法定相続人に管理義務が残ることがあります。

参考記事:相続事例7 相続放棄をしたのに不動産の管理義務が発生したケース

相続放棄を選んだあとに管理義務だけが残ってしまうと、面倒なことが起こります。

何が起こるかというと、不動産の権利は放棄によって手放したため売却ができずに、改修などで出費がかさんでしまうのです。空き家として放置しておくこともできませんしね。

そこで限定承認を利用すると、管理義務を消して不動産を手放すことができます
限定承認は「売れるものは売却して、借金の返済に充てる」というものです。その手続きのなかで、不動産が第三者に譲渡されるのです。

手放したい不動産があるときには、積極的に使っていきたいですね。

限定承認のデメリット

ここまで限定承認のメリットばかり書いてきました。皆さんのなかには「じゃあデメリットはないのか」と思った方もいらっしゃるでしょう。

残念ながら、デメリットはあります。

デメリットの1つとして、手続きが非常に難しいことが挙げられます。

その難しさから、相続人が自分で手続きを進めるのは大変で、基本的には専門家の手を借りることになります。

デメリットの2つめは、同順位の相続人全員が限定承認を選ばないと、この方法はとれないということです。

相続人の誰か1人でも相続放棄などを選んでしまうと、限定承認の選択ができなくなってしまいます。そのため、限定承認を検討するなら、しっかりと相続人のなかで話し合う必要があるでしょう。

まとめ

1,限定承認は相続方法の1つ。
2,財産がプラスなら相続、マイナスなら相続放棄ができる制度。
3,故人の資産がわからないときに有効。
4、親戚などに相続内容を知られたくないときにも。
5,不動産の管理義務も消える。
6、手続きは難しいため、専門家に相談必須

いかがでしたでしょうか。デメリットもいくつかありますが、それ以上のメリットがあるのが「限定承認」という方法です。

世間的には認知度も低く、まだまだ浸透していませんが、相続の際にはこの方法も選択肢にいれておくと、あとで後悔せずに済むかもしれません。

当事務所は限定承認の手続き実績があり、対応可能です。1時間無料相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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